医者や弁護士がどんな人なのか、なかなかわからないように、建築家もお施主さんにとって、設計姿勢や作品を見るだけでは、どんな人なのか解らないことが多いものです。
ここでは、設計事務所の立場から、タイプを3つの“くくり”で分けてみました。
タイプ別に分け、少しでも建築家の傾向を知って頂くことで、選び方の参考にしてみてください。
1.建物の性能を重視するタイプ(掲載誌:チルチンびと、住む、木の家に暮らす・・・系)
自然素材をふんだんに使い、高気密、高断熱や環境にやさしく、家の快適な性能や使い勝手を日夜追求している人です。 家の形や空間構成よりも、あくまで家の性能が重要なのでプラン、外観は平凡で面白みのない場合があります。
飽きの来ない、長が〜く住める家を創ります。
木や紙、漆喰や珪藻土の左官等、素材で勝負するタイプです。
2.デザインを優先するタイプ(掲載誌:BRUTUS、PEN、新建築住宅特集・・・系)
デザイン力があり、家の形や空間構成を面白くドラマチックに演出してくれます。
形優先で割り切って使い勝手を無視することもあります。
若い建築家に依頼する場合、カッコ良さだけで、若気の至りにならないようにしなければなりません。
夢を形にするのが得意で、夢を大きく膨らませてくれます。
建築家に依頼する醍醐味は、一番あるかもしれません。
家のコンセプト、空間構成で勝負に出るタイプです。
3.何でも聞き入れて設計するタイプ(掲載誌:雑誌に取上げにくい・・・系)
お施主さんの要望を何から何まで良く聞き、設計に反映します。
お施主さんにとっては、全て聞き入れてくれるので、相談し易い人です。
ただ、客観的に見てその家、その人にそぐわないことも要望があれば設計に取入れてしまう傾向があるので、家としてのバランスやまとまり具合がイマイチになる可能性もあります。
特に、建築家に頼まなくても良かったのでは、とならないように気を付けたほうが良い場合もあります。
何でも相談出来て、家を建てることの不安感を取り除いてくれます。
何より人が好きで会話、コミュニケーションを武器とするタイプです。
建築家は多かれ少なかれ、この3つの要素を持ち合わせています。
人によって、いずれかの傾向が強かったりします。
どのタイプの傾向が強いのか、良く見極めることも、建築家を探す秘訣のひとつかもしれません。
一方、別の“くくり”として、話の上手い人、下手な人、若い設計活動に燃えている人、年を重ね経験豊富な人なども傾向が違ってきます。
話の上手い人は、話し易く、場を盛り上げ、お施主さんの潜在的な要望を引き出してくれるかもしれません。
しかし、物事を言葉で上手にかたずけられる能力の持ち主なので、デザインが話しの割には、おろそかだったりする人もいます。
話の下手な人は、打合せでは淡々と接していて、面白味に欠け、退屈かもしれません。
お施主さんに愛想よく振舞うことではなく、その分全精力を、お施主さんの要望の実現、デザインに費やし、思いもよらない素晴らしいプランを提案してくれることだってあります。
また、
若い設計活動に燃えている人は既成概念にとらわれず、柔軟にエネルギッシュに面白いアイデアを提案します。
年を重ね経験豊富な人は、若気の至りで済まされない、いろいろな角度から裏ずけされた揺ぎ無いデザインを提示してくれたりするわけです。
タイプ別からここまで話を広げてきますと、建築家にもその能力、性格等によって、いろいろな人、やり方があることが解って頂けたかと思います。
あくまで、万人に当てはまるわけではありませんが、建築家にはこんな人たちがいるということを、少しでも参考にして頂けると良いかもしれません。
建築家との出会いは、縁もあると思います。
何処か惹かれるところがありましたら、メールの受け答えだけに留まらず、まず、連絡を取って、是非、会って話をしてみることをお薦めします。
実際、話してみるとHPやメールで見えないことが見えてくるものです。
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