その度合いは、皆さんそれぞれで、予算内では出来ない夢や要望を沢山お持ちです。
それに対して、最初からほとんど予算内では出来ませんとは言えないのが本当のところでしょうか。 言っても良いのですが、お施主さんの夢を壊してしまうと同時に、生涯1度か2度しか建てないであろう大切なお住まいを萎縮したものにしてしまうからです。
安全に余裕をみて予算内に納めてしまう設計は楽です、普通の設計をすれば簡単ですから。
しかし、せっかく、建築家に期待をして依頼されるからには、その期待に答えて感動していただけるような設計でないと意味がないと思っています。
夢や要望が大きいほど金額は膨れますが (高くなりすぎるようでしたら、途中で警告を出します。)、夢をそこそこ膨らませながら現実と照らし合わせて図面(キッチリ見積もれる実施設計図)を書いていくわけです。
夢がいっぱい(あるいは、程々?)に詰まった実施設計図が出来上がったら、いよいよ見積を工務店から取ります。
見積が上がって来て、そこで、実際の予算と照らし合わせ、夢を更に現実のものにしていく作業に入ります。これが、大事な大事な“見積調整”といことになります。
ここでようやく夢が現実(金額)として現れてきます。
ハウスメーカー等では、防衛策として基本計画の段階で概算見積を出しますが、 この段階では、夢や要望が全て反映されているわけもなく、数枚の設計図の見積は、何の根拠もありません。
そのリアルでない金額だけが一人歩きをしてしまい、設計の参考にするはずなのに、 思ったより少なければその金額で全部出来てしまうと思ってしまったり、多ければ、もっと設計を削らなければと萎縮してしまうわけで、夢の実現の妨げになってしまいます。見積は、 キッチリ見積もれる実施設計図が出来上がった段階でないと意味がありません。
そこで見積調整では、どうしても実現したいもの、切り捨ててもよいものを本格的に“仕分”をして工事する実際の金額を決めていくわけです。大変な作業です。やはりこれを乗り越え初めて納得出来る我家を獲得することになるわけです。
知得の話の“コストダウンのポイント”や”設計監理のプロセス“の見積調整を合わせて読んで頂くと、 より分り易いかも知れません。
ここで、理解しておいて頂きたいのは、建築家が予算内に納めるのではなく、建築家はあくまで助言をする立場で、お施主さん自身が夢と予算の折り合いを付けるということが重要になってくるわけです。
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