居間や食堂を陽の当る場所に配置したおかげで、洗面所や浴室が北側の寒々しい場所や、廊下の突き当たりに追いやられてしまう。日本ではよくある間取りです。
前回お話した通り、洗面所は健康的な日常生活を営むための大切な場所です。
そんな洗面所が不健康な場所にあっては本末転倒。
私は洗面所の使い易さ、便利さ、楽しさが花粉症やインフルエンザの基本的な予防や毎日の健康管理のし易さに繋がるのではないかと考えます。
ですから洗面所は、日頃くつろいでいる居間の一部や隣で、日当たりの良い快適な場所に配して、気軽に積極的に利用できることが理想です。
ご高齢の方にも、髪を染める時に暗がりの冷たいスペースでは不便ですし、
暖かい部屋から急に暗く寒い場所に移動するのも、体に良くありません。
その洗面所に取付く浴室も南側に配し、ジャグジーのように昼間の日差しを浴びながら入浴するのも楽しみになるでしょう。
住宅ではありませんが、日本が誇る大建築家、村野藤吾さん設計の箱根プリンスホテルでは洗面が、脱衣室ではなく客室の片隅に配置してあり、使い勝手がよくオシャレでした。
今やお風呂にお湯をはるのも洗濯も全自動。必ずしもそれらをキッチンやユーティリティーのそばに置いて家事動線をまとめなくても、もっと自由に動線を見直すことも必要になってきたのではないかと思います。
洗面所を家の主役に据える。そんな間取りが、住む人に優しく健やかな日常を与えてくれたりします。